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株式会社fcuro

  • 2024
株式会社fcuro

株式会社fcuroは、現場起点の技術を実装することにより救命を支援することを使命としております。時間と人員に限りがある救急現場では、常に迅速かつ正確な診断・治療を行うことは非常に難しいです。また、臨床以外の業務負担も大きい状況となっております。
我々は、救急医の業務を包括的に支援するために、画像診断AIを中心とした臨床支援AI及び、書類業務等に関する業務支援AIの研究開発事業に取り組んでおります。これらの事業を通して、救急医が臨床において最大の能力を発揮できる環境を実現することで、患者の救命率を向上させ、防ぎ得た死「Preventable Death」のない社会の実現を目指しております。

研究テーマ

全身検索型画像診断AI技術を用いた外傷による致死的活動出血検出AIシステムの開発と実装

全身検索型画像診断AI技術を用いた外傷による致死的活動出血検出AIシステムの開発と実装

高齢化が進行し患者が急増する中、日本では医師不足が深刻となっている。救急搬送数の激増した救命現場は既に対応のキャパシティーを超えており、実際に時間外の手薄な状況下ではどうしても救命が困難な患者が存在する。その代表が重症の外傷患者である。重症の外傷患者の最大の死亡原因は失血である。そのため、重症の外傷患者を救命できるか否かは、出血点を迅速に特定し止血できるかに全てがかかっている。
救命現場においては、体表から診るだけではどこから出血しているかがわからないため、CTという装置で頭から足先まで詳細に体内を画像化し、これをもとにどこから出血しているかを見つけ出す。このCT検査はとても有用である一方2つの大きな問題を抱えている。時間と見逃しの問題である。
本研究における我々の目的は、CT画像から出血点を迅速に見つけ出すことのできるAIシステムを開発することで、時間帯や病院規模に左右されずどのような状況においても最善の外傷救命を実現し、Preventable Trauma Death(全外傷死の20%にものぼる、適切な処置を施せば救命できたと推定される外傷死)のない世の中を実現することである。

詳しくは、STARTUP LEAGUE WEBサイトへ
STARTUP LEAGUE WEBサイト
2024年度の研究成果に対する評価

審査委員の評価

<Good Points>
全国の救命センターから収集した症例を用いて、あらゆる出血を高精度で検出できるAIシステムを開発し、現場の医師がシステムを用いることで迅速かつ正確に出血を発見できることを実証した点が評価できる。
<Next Challenges>
医療機器としての承認取得や病院へのネットワーキングなど、事業化には時間がかかると予想される。課題を克服するためには、経験豊富な専門家の助言を多く得ることが必要である。また、臨床の現場をプロジェクト関係者の病院以外にも数多く広げることが重要である。 特許を取得することで、技術の優位性を確保し、国際市場への展開をスムーズに進めることができるため、特許出願などの知的財産権の保護に取り組んでもらいたい。

ICT-SUL業務実施機関の評価(研究成果に対する講評)

<Good Points>
外傷による致死的出血を高精度で検出するAIシステムの開発と、実際の医療現場での実装が評価できる。救急医学会での発表により、システムの精度が90%を超えることが実証されたことも特筆すべき点である。
<Next Challenges>
医療機器としての承認取得や病院ネットワーキングに時間がかかることが予想されるため、経験豊富な専門家の支援が不可欠である。
特許出願などの知的財産権保護に取り組み、技術の優位性を確保することが必要である。また、臨床現場の拡大と国際市場への展開を視野に入れた戦略が求められる。

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