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那珂 慎二

  • 2023
  • 2024
那珂 慎二

私は現在、聴覚障害者向けのサービスを提供する「signers(サイナーズ)」という法人の設立を目指して準備を進めています。私は以前、聴覚障害者団体の手話通訳者を派遣する部署で勤務していました。また、妻はまったく耳が聞こえない全聾で、普段は手話で会話をしています。また、友人も聴者より聴覚障害者のほうが多く、日常的に彼らと触れ合う中で、聴覚障害特有の悩みや苦しみを目にしてきました。サイナーズは聴覚障害当事者の声を取り入れながら、できる限り当事者自身にも開発・運営に携わっていただき、聴覚障害者にとって必要なサービスを共に作り上げていきます。

研究テーマ

シースルー型ARグラスに遠隔手話通訳映像や字幕を投影する新形態の補聴器の開発

シースルー型ARグラスに遠隔手話通訳映像や字幕を投影する新形態の補聴器の開発

聴覚障害者に「声」を届けたい。
何をいまさら、と思う方もいることでしょう。
実は難聴者の多くは、補聴器を着用してもクラクションやサイレンなど、ある程度の「音」は聞こえるようになりますが、肝心の「声」を聞き取ることができません。これは補聴器の性能ではなく、聴神経・内耳・脳の問題ゆえに、補聴器の開発から150年間解決できない課題であり、今後も完全な解決は難しいと推察されます。
さらに、聴覚障害者との意思疎通方法として一般的なのは筆談・字幕ですが、手話を第一言語とする聾者の場合、日本語と手話の文法は全く異なるため長文理解が苦手であり、正確に文章の意味を汲み取るのが難しいという課題もあります。
そこで私は「音」は補聴器で、「声」はARグラスで『聴こう』をコンセプトに、会話内容をリアルタイムで手話通訳映像もしくは字幕に変換し、希望するどちらかをシースルー型のARグラスに投影できる、新形態の補聴器を考案しました。
これが実現できた時、全世界の聴覚障害者のコミュニケーションは革新的な進展を迎えるでしょう。

詳しくは、STARTUP LEAGUE WEBサイトへ
STARTUP LEAGUE WEBサイト
2024年度の研究成果に対する評価

審査委員の評価

<Good Points>
AR技術と遠隔手話通訳を組み合わせたシースルー型AR補聴グラスの開発が進捗し、行政や議員との連携強化が進んでいる点が評価できる。
<Next Challenges>
外部資金調達不足による財務基盤の脆弱性が懸念である。安定した収益化に向けた事業計画やマーケティング戦略策定の必要がある。

ICT-SUL業務実施機関の評価(研究成果に対する講評)

<Good Points>
シースルー型ARグラスにおける遠隔手話通訳映像や字幕投影等の新機能等の開発やAR酔いの減少等の技術的な進歩を達成した点が評価できる。
また、ロビーイング活動等、事業展開にも積極的に取り組んでいる点も評価できる。
<Next Challenges>
収益化に向けた事業計画や外部資金調達不足等の、財務基盤の脆弱性が懸念される。また、事業化にあたり、マーケティング戦略の策定や特許申請などにも取り組む必要がある。

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